はじめまして
森のなかでみなさまを迎える木造の醫院を
生まれ育った松本に建てようと思いました。
あれから17年が経ちます。
欅もずいぶん立派に育ちました。
おかげさまで醫院は緑のなかにあります。
白くて無機質な空間ではなく、
やさしくてぬくもりのある部屋にしたい。
珪藻土の壁、天井に和紙、松本民芸の職人さんの椅子。
そして僕が手折った季節の草花たち。
待合室の正面の壁には液晶パネル
癒しの動画を見ながら待っていただこう。
なにかがちがう。
私は最新の機械の代わりに
古い李朝の箪笥を置くことにしました。
「文明」をとるか「文化」をとるか。
液晶パネルから吐き出されてくるものは
いくらリアルでも作り物。
私は本物を置きたい。
野に群れている朝顔をがっさり手折って
こうして大皿にどっさり盛っておくと
翌日にはみごとな花が咲きます。
プラスチックの造花にはないsomethingが
本物の草花からはあふれ出ている。
これがsense of wonder